「開運ライフ」とは・・・

日本人は昔から、その季節や一年の出来事のそのたびに、運命を開くおまじないをしていました。
それが年中行事やお節句となって今日に伝わり、今でも様々な形で幸運を引き寄せる、縁起担ぎのおまじないとして伝わっているのです。
このマーク・矢崎の開運ライフは、そんな今日に伝わる様々な、幸運を引き寄せるおまじないを紹介しながら、みなさまの未来や人生を幸運へと導く、開運ライプを提案するものです。
さあマークと一緒におまじないを生活の中に取り入れて、幸せな開運ライフを始めましょう。


七夕祭り編①からのつづき‥‥

④ 七夕と笹飾り

戦国の乱世も終わり江戸時代になると、世の中が平和になり庶民の暮らしも豊かに。そして武士や貴族の子供でなくても読み書き算盤や技芸裁縫などの習い事をするようになりました。それと共に技芸上達を星に願うお祭りの七夕も、庶民の中に広まっていきました。

初めは宮中で行われた乞巧奠の行事のように、庭に祭壇を飾り、お酒や季節の食材、上達したい技芸の道具などを供え、祭壇の両脇に笹竹を立てて、その笹竹にしめ縄のように五色の糸の束を渡して、その渡した糸に願い事を書いた梶の葉を吊り下げていました。



しかしその七夕の行事が庭を持たない長屋住まいの一般庶民の中に流行すると、夜空の星に供え物をする祭壇は省略されて、祭壇に結界を張った笹竹だけが残りました。そしてしめ縄代わりの五色の糸や、願い事を書く梶の葉の変わりとして、五色の色紙で作った短冊に願い事を書いて、その笹竹に飾るようになりました。
この七夕の笹飾りは、短冊に書いた願い事を夜空のお星さまに読んでもらうためのもの。そこで派手好きで負けず嫌いの江戸っ子たちは、屋根や立てた梯子の上に笹竹を縛り付け、大きな竹竿に派手な飾り付けをして、夜空のお星さまに目立つようにと工夫を凝らしました。それが今に伝わる七夕の、笹飾りの始まりです。


⑤ 七夕の行事食

マークが子供の頃、七夕の夜の食事は決まってそうめんでした。それも赤、黄、緑の色のついたものが少し混じっていて、タライのような平たい木の桶に冷たい氷水を張り、キュウリやリュウキュウや缶みかんが浮かんだその中に、そうめんが盛ってありました。
それが食卓の真ん中にデーンと置かれ、手元には鱧か鯛のあらで取ったお出汁のお椀があり、そのそうめんを家族みんなでつついて食べました。
薬味はネギとミョウガとおろしショウガがあり、このおろしショウガは、食事の後に出される冷たい甘酒にも入れて飲みます。すると甘酒の少し生臭いような癖のある匂いが和らいで、後味がスッキリしてマークはこの甘酒が好きでした。



この七夕の日のそうめんは、織姫の機織りの糸にちなんだ行事食で、白くて長いことから穢れを払って長生きを表し、健康長寿に繋がるのだといいます。
お出汁に使う鱧(ハモ)はとても生命力が強い魚で、その鱧の生命力で夏を乗り切り、また鯛(タイ)はおめでたい魚で、これも生命力を高めて幸運を呼ぶ縁起担ぎの意味があります。
甘酒はお米を発酵させた麹から作るので、秋の豊作祈願と米は神様が宿る食べ物。それを飲むことで神様の力を体内に宿し、また白い色は穢れを祓う効果があり、身体に宿った災厄を祓って、暑い夏を健康に乗り切るというご利益があります。

昔の人はこのお節句の行事食のように、その時々の旬の食べ物を摂ることで、体の中にその時々の氣を取り入れてきました。熱いこの時期そうめんと一緒に食べるキュウリやリュウキュウは、身体の表面の熱気を取り去る働きのある食材。また薬味のネギやショウガは深部体温の調節効果があり、薄着や冷房などでの身体の冷え過ぎを防止する働きもあります。
甘酒はお米の発酵食品でアミノ酸が豊富。夏の暑さでバテた体調を整え、元気やスタミナを回復させる働きがあるといいます。
七夕の行事食のそうめんや甘酒には、単に縁起担ぎだけではない、昔の人の経験から生まれた、季節の旬の食べ物の食文化の知恵が隠されているのです。


⑥ 七夕飾りに込められた願い



江戸時代の風物を描いた浮世絵を見ると、屋根より高く掲げた笹竹に、五色の短冊や紅白の縄などと一緒に、瓢箪や杯、徳利や算盤などの器物が飾られているところが描かれています。本来は庭に置かれた祭壇に飾ったものを、笹竹に吊るして飾ったのが七夕飾りの始まりで、人々がその高さを競って笹竹を高く飾ると問題が出てきます。
ただでさえしなりやすい笹竹に重いものを吊るし、屋根より高いところへ掲げるのだから、少し強い風に吹かれて、重い器物やハサミなどの刃物が落ちたら事故になります。実際そんなことも起きたのでしょうか、七夕飾りは時代が下るにつれて、だんだんと紙細工のものに置き換えられてきました。

そしてその紙で作った七夕飾りには、お雛祭りの吊るし雛のように、その飾り物にちなんだ願い事の意味が込められています。

【吹流し】 織姫の織った反物や糸を表し、技芸上達や機織りや裁縫の上達を願う
【紙 衣】 裁縫の上達と、着物や衣類に恵まれる
【投 網】 豊漁や豊作を願う  幸運を網ですくって引き寄せる
【巾 着】 金運を引き寄せる  貯金や節約の精神を養う
【提 灯】 書物を照らす明かり  学業成就  知恵に恵まれる
【くす玉】 薬玉と書いて健康長寿  病気にならないように
【千羽鶴】 長生きと一家繁栄
【 鎖 】 人と人との絆や御縁を表す

七夕(しちせき)の節句が「たなばた」と呼ばれるようになったのは、棚機(たなばた)と呼ばれる織機で機を織る、棚機つ女(たなばたつめ)と呼ばれる職業の娘たちが、機織りの上達を願って始めたお祭りだからです。
つまり七夕は女子の技芸上達や才能開花を願うお祭り。そのご利益にあやかり、あなたも星にスキルアップを祈ってみてはいかがでしょうか。

そんなこと言っても、もう七夕は過ぎていると思っている方もいると思いますが、本来の七夕は、旧暦の七月七日に行われていたものでした。だから星の動きやこの大宇宙の氣の流れからも、ぜひ七夕の儀式は旧暦にやってもらいたいです。

今年の旧暦の七夕の日は8月22日 に当たります。この日は伝統的七夕の日として国立天文台のホームページにも掲載されていて、やはり天文や星の流れの見地からすると、七夕の行事は旧暦で行う方がご利益にあずかりそうです。

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20歳で月刊少女誌『マイ バースデイ』(実業之日本社)におまじないや占いなどの連載を開始。『いにしえからの贈り物 お守り・厄除け・おまじない』(説話社)をはじめ著作多数。『毎日新聞』の占い欄ほか、ウェブサイト、携帯サイトの監修も多数。明治時代の実業家・易断家の高島嘉右衛門(たかしまかえもん)の玄孫(やしゃご)にあたる。日本占術協会専務理事、日本占術協会認定占術士。
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