『マイカレンダー』で始まった連載「占い界☆今号の3人」。第1回は「占い界若手男子」としてSUGARさん、一樹さん、竹内俊二さんにお集まりいただきました!

『マイカレンダー』で始まった連載「占い業界☆今号の3人」。
占い界で何らかの「共通項」を持つ3人にお集まりいただき、普段どんなことを話しているのか、こっそり聞き耳立てちゃおう!というのが企画コンセプト。

記念すべき、第1回のテーマは「若手男子占い師」。
「わちゃわちゃ楽しそうなトークが聞けたらいいなー」なんて思っていたものの、わずか開始10分で後悔することに……。

「話が濃すぎて、とてもじゃないけど1ページになんて収まらない……!(汗)」。

そこで雑誌を飛び出して、「マイカレWEB」にて番外編をお届けします!

**********************

20~30代の「男子」が占いを志すきっかけとは



―皆さん、占い専業なんですよね。

一同:一応、はい。

竹内俊二さん(以下 竹内):僕は専業になったのが2016年7月で、それまではお勤めしながらやっていたので、キャリアは短いです。個人鑑定の件数はそれほど多くなくて、その代わり長く読む、という感じ。じっくり読まないと、なんだか落ち着かないんです。だいたいお1人1.5時間~3時間。僕はお客さんを導くというより、自分の好奇心で占星術を知りたいな、という思いでやっています。だから「確認がしたい」っていう感じですね。

SUGARさん(以下 SUGAR):じゃあ、一種の答え合わせみたいな?

竹内:そうですね。だからお2人とは少しスタンスが違うと思うんです。

―竹内さん、占い専業にするのは勇気がいったんじゃないですか?

竹内:結構、いりました。結婚していましたし。でも昼間に別の仕事をしていて「なぜこの時間、好きなことができないんだろう」という思いが強くなってきて。あとは鑑定の依頼が増えてきて、どうしても比率が噛み合っていないと思うようになりました。だから起業するための勉強とかはまったくしていなかったですね。

―奥様は反対されませんでした?

竹内:最初から「いずれ辞めます」と伝えて、納得してもらっていたので。それまでは自動車の部品を3Dで製図する仕事をしていました。

SUGAR:自分の場合は竹内さんとは逆で、父親は怒り狂っていたと思いますし、親戚からも「バンドやめろ」って言われてました。

―バンド!? 確かに、そう見えなくもない のかもしれませんね……(汗)。

SUGAR:「周りに言えないから、知り合いの事務所で働いてくれ」とか、「占い師、いつまでやってんの」って言われていました(笑)。一樹くんは?

一樹さん(以下 一樹):僕の場合は親が寛容というか、「頑張れ」という感じで。反対はされたけど、電話で1回、「この仕事をやらせてくれ」と言ったら済みました。

SUGAR:一樹くんは、親に「こいつ、何言っても無駄だ」って思われてたとかではなくて? あるいは、ちゃんと仕事してくれているんだったらまだマシか、みたいな。

一樹:そうそう。だから僕は去年までバイトもしていましたね。建物解体の手伝いとか。肉体労働、割と好きなんです。

SUGAR:ガテン系占い師(笑)。

―占い業界でここまで肉体派の方って珍しいですよね。

SUGAR:あまりいないですよね。やっぱ繊細な方が多いというか……。

一樹:僕、シャウト系。

―そう考えると、一樹さんはだいぶ異色な存在ですね。

SUGAR:ねー、反抗期っていうか。

一樹:万年、反抗期。僕、バンドもやってるんですよ。アンダーグラウンドなノイズミュージックをやっていて。

―音楽もそうですが、占いがちょっとおしゃれに見えるようなあり方って、SUGARさんが所属している、「not for sale.」さんが先駆けですよね?

SUGAR:それはルネ・ヴァン・ダール・ワタナベ先生でしょう。ファッション誌とコラボしたり。

一同:あー、そうか!

―確かに、占いのファンタジックな世界観を作り上げるのは、ルネ先生がとてもお上手でしたね。

SUGAR:70年代くらいからですよね。その素地があって、鏡リュウジさんが90年代に出てきて、ユング心理学と占いを絡めて、ソフティスケイティッドされた知的な形の占いになっていきました。さらに2000年代に入ってインターネットが当たり前になってきて、例えばビジュアルとしてアクティブなものを、占い師個人ではなくクリエイターを交えたユニットとしてなら何かしかけられるんじゃないかというのが「not for sale.」のおもしろみでしたね。

―占い業界的に、とても画期的な試みだと思いました、本当に。

SUGAR:「男性の占い師が少ない」「占い師というとどうしてもダサいイメージを抱かれやすい」と。でも実際にひとり一人を見ていけば、もっと洗練された動きもあるはずなのに、一般的なイメージと乖離があったので。そこを若い男性が主体となって打ち出していくことで、まずイメージを変えられないかという発想でした。


「占い」をどう表現するのか。三者三様のかたち



―皆さん、いろいろな形で「占い」のあり方の可能性を模索されているわけですね……。そして竹内さんといえば、占星術をイラストで表現した、「ねこちゃんピオン」ですよね。本当にかわいい。

SUGAR:いつ頃、書き始めたんですか?

竹内:いつだったかな……。思いついた日は覚えてるんですけど、マラソン大会の朝でした。

一同:(笑)

竹内:マラソン大会の朝に起きて、「ねこ」と「チャンピオン」をくっつけたら「ねこチャンピオン」になるっていう絵が浮かんで。

SUGAR:ちょ、待って(笑)。ねこはわかるけど、チャンピオンの絵はどういう経緯だったの?

竹内:あの王冠みたいなのが……。それに「ねこちゃん」と「チャンピオン」って、「ちゃん」が重なってるし。

SUGAR:「ねこ・チャンピオン」なのか「ねこちゃん・ピオン」なのか……。

一樹:僕も、どこで切るのかなぁって、最初思ってた。

竹内:占星術のテキストって基本的に文字ばっかりだから、もっとビジュアル的にわかりやすくしたいっていう、月星座・牡牛座欲求があったんですね。図説したいとか、じっくり至近距離で、手に取るように堪能したいっていう。

―まさに、牡牛座感が出てますね!

竹内:「どうにか引き寄せたい」という思いがあって、自分なりに考えた結果だと思います。

一樹:ものすごいキャッチーで可愛い。で、非常に巧みなんですよ、表現が。ヘビー級の球をバッターボックスで打ってる、ねこちゃんのやつとか……。

竹内:ああ、僕のディセンダントに冥王星があるんですが、そこを天体が通る時は、どんな天体も冥王星フィルタを通して強烈になる、という。この間はトランジットの金星が来ていて、たくさんの人が集まってくるけど、投げてくる球はヘビーな冥王星級の球ばっかりだ、みたいな(笑)。

一樹:あれとか見て笑っちゃった。戯画的に表現することでわかりやすくなっている。

竹内:やっぱり僕自身が太陽射手座だからなのか、ユーモアは欠かせないと思うんです。笑いとかポジティブとか。深刻にもっていってもしょうがないような。

一樹:それは僕も……(月星座射手座)。

SUGAR:あ、二人の射手座が共鳴している! 【太陽星座】として実践している人と、【月星座】として具現化している人っていう対比が出ていて、すごくおもしろいですね。竹内さんの場合、本業として自分の活動を展開していく中で、おのずと方向性が出てきたっていうのは太陽・射手座的だなと思うし。月・射手座の一樹さんは、もう存在がファニーっていうか、わざとやってないですよね?(笑)

一樹:いや、わざとやっているとこもあって……。

SUGAR:えっ、そうなの?

一樹:最近の占いの文章って、見てる人を癒そう、喜ばせようとして、ある種の決まりきったコードに沿って書かれているような気がしていて。もっといろんな切り方ができるのに……。

SUGAR:それはちょっとあるんじゃないですかね。だから率直な話として言うと、例えば、雑誌にしろWEBのメディアにしろ、ここ数年は「石井ゆかりさんぽく書いてください」ってオーダー、絶対多かったと思いますよ。最近でいうとしいたけ.さんぽい感じでお願いしますとか(笑)。

竹内:トゲのない感じというか……。

SUGAR:優しくフォローする感じで、とか。それは別に誰が悪いわけではなく、「コード化する」っていうのは、何でもそうですよね。

一樹:だけどそのコードを使っても、石井さんぐらい豊かにはみんな書けないわけですよ。で、「適当に癒しとけばいいや」みたいなスカスカの文章になっている気がしていて。だから僕は「太陽と月のキャッチフレーズ集」とか、ナンセンスなギャグのつもりで書いてて。

SUGAR:なるほど、そこにつながるわけね。

一樹:そういう流れを壊してやろうと思って、いろんな書き方をTwitter上で試しているんです。 すべてひらがなで書いた、「5歳からの12星座ぽえむ」も、その試みの一環。

SUGAR:確かにおもしろいね。皆、それぞれの表現を、占いを通じて模索しているという。

竹内:一樹さんの言葉は本当に魅力的だと思います。力があるっていうか、ただ一般的に広まっている言葉を並べないっていうか。完全にそれに抵抗している。

一樹:「絶対、同じ言葉を使ってやるもんか!」という反抗心がありますね。ラッパーみたいなもんだなと思って。パンチラインをね、ぶち込む、と。

SUGAR:昔でいうと、踊り念仏だったりとか……。

―えっ、「踊り念仏」ですか!?

SUGAR:僧侶の説法とかも、昔はいわゆる野外ライブですよ、要は。そんなしつらえられた、決まりきった場所でやるわけじゃなくて、その辺でパッと思い立って説法したり、遊行(ゆぎょう)をしていくという。その時どきに応じたリリック(詞)ができて、それがハマるかどうかじゃないですか。パンチラインもそうだよね。

一樹:遊んでるんだけど、しっかりと根拠を押さえてるところが、「そういう風にくるか!」っていう感じ。

竹内:同じ占星術を使って仕事をされている方の、違う頑張りの表現なんだな、という感じですね。

SUGAR:皆、それぞれにあるんじゃないですかね。竹内さんの「ねこちゃんピオン」もそうだし、一樹くんのポエムもそうだし、自分であれば……。

一樹:俳句!

SUGAR:メディアでやってる週間星座占いの連載の一つ「isuta」のHOROSCOPEに、よく俳句を引用しています。五・七・五で、その週の雰囲気を表現できないものかと思って。短いし、覚えられるし、感性で味わえるんじゃないかなと。もともと5年くらい前から芭蕉や蕪村などを読む日本の古典勉強会に行き始めたので、その蓄積をどこかで表出したいというのもあったんですけど。これも社会実験、表現実験という側面はあるかもしれないですね。

一樹:占星術って万物照応なわけじゃないですか。星といろんなものとをコレスポンデンス(対応)させて、照応関係を探すおもしろさ、というか。「これはこれっぽい」と似ているものを探してきて、それをくっつけて語るアートというか。

SUGAR:多分、一樹くんには音楽や詩で救われた経験があると思いますし、竹内さんも何か違うものに救われた経験があると思うんですけど。占いというのは、生きづらさの軽減だったり、悩みを晴らしたり、どうにもならないものをなんとか調整していこうとするものだと思うので、そこに自分の経験したことをどう載せていけるか、というのはそれぞれのテーマになっているんじゃないかな、と思いますね。

一樹:やっぱり占いを始めるきっかけって、自分を癒す、自己セラピーから始まってるなぁって思いますね。

竹内:僕も占いを始めるちょっと前は「自分は何もない」と思っていたんですけど、ホロスコープを出すと「何か」があるわけです。何も「ない」わけでは決してない。ホロスコープは非常に平等で、誰にでも特徴的なものが一つあるんです。だから、そういう誤解に対して、「見方を変えるとそうでもないよ」って僕は言いたいのかなって思います。

―確かに皆、ちゃんと10の星と12の星座を持っているわけですからね。

竹内:そうですね、どの人にも10天体がちゃんとあるんです。

~番外編・第2回に続く~

――――――――――――――――

SUGAR
しゅがー●獅子座。月は牡羊座。1983年生まれ。2009年より占い師として活動。メンズ占い師ユニット「not for sale.」メンバー。
http://astro-ragus.com/

一樹
かずき●魚座。月は射手座。1984年生まれ。現在は「原宿占い館 塔里木」に所属。ノイズミュージシャンとしても活動中。
https://twitter.com/puntukuta

竹内俊二
たけうちしゅんじ●射手座。月は牡牛座。1979年生まれ。2011年から活動。現在は初心者からプロまで楽しめる占星術講座も開催。
https://nekochan-pion.hatenablog.jp/



場所「BAR アイラ島銀座」
現地で買い付けたスコッチウィスキーを豊富にそろえるバー。気取らない雰囲気の中で、「本物」をゆっくり味わえる。
東京都中央区銀座1-19-12
http://www.islay.tokyo/

撮影/石田健一 聞き手/マイカレンダー編集部