◆冥王星からの問いかけ ~あなたは何を壊し、どのように再生させるのか

『マイカレンダー』2019春号では、「冥王星代別に見る あなたたちの生きた時代 ~今、生きづらい理由を探る」として、マドモアゼル・愛先生と、エミール・シェラザード先生にご登場いただきました。

1つの星座を約10~15年かけて移動する冥王星。
そのため、その世代特有の価値観や「生きづらい」と感じる原因が浮き彫りになると言います。

権威と特権を破壊し再生してきた冥王星獅子座世代(1939~1956年生まれ)。
エリート化と同時に平均化をもたらした冥王星乙女座世代(1956~1971年生まれ)。
パートナーシップのあり方を変えた冥王星天秤座世代(1971~1984年生まれ)。
人との深い関わりを模索し、死の恐れを乗り越えていく冥王星蠍座世代(1984~1995年生まれ)。

……お話にはまだ、続きがあったのです!

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◆冥王星射手座世代 ~自国の文化を大事にしていく世代


―そもそも、星の発見が人間の意識や世の中の事象とリンクする、というのは不思議なことですね。

マドモアゼル愛先生(以下愛):いわば「これまでの星だけでは説明できない事象が出てくる」タイミングで星が発見されるんです。例えば、肉眼では見ることのできない天王星・海王星・冥王星、いわゆるトランスサタニアン(土星外惑星)が発見される前までは、土星までの価値観ですべてを占っていた。でも1781年にウィリアム・ハーシェルが天王星を発見する。この頃には「権威」や「規律」といった土星的な価値観では説明できない事象が次々と出始めてきていたんです。例えば、フランス革命や産業革命。電気の発明なんて、まさに「目に見えない力」でしょう?

―確かにそうです。

愛:そして1846年には海王星が発見される。フロイトやユング、心理学が発展した時代。人間に「無意識」というものが存在するという考え方もそう。まさに「心の中」の問題だよね。

エミール・シェラザード先生(以下エミール):美術で言うと、印象派もこの世代よね。

愛:そう、ある種の抽象芸術も、最初は「何だこれ?」と思われたとしても、そこに人間が今まで表現し得なかった何らかの真実がある、という世界観が、海王星の発見以降、ひらけてくるんです。そして最後は1930年代に核の発明とともに冥王星が発見される。冥王星には「金融」という意味もあるけれど、金融の仕組みによって人類を根本から支配できると考えた人たちによる政治経済が続いてきたわけです。

―では冥王星射手座世代(1995~2008年生まれ)については、いかがでしょうか?

愛:その特徴がよくわかるようになるのは、彼らが本格的に社会に出てきてからだろうけど、射手座的なものを壊していくわけだから、国際感覚が変わってくるのは間違いない。これまでのグローバル化をひっくり返す、ということになるだろうね。つまり「国ごとに勝手にやってください」ということ。内需志向型の経済に変わってくるだろうし、これまでは英語ができてはじめて、世界の人と文化交流ができると思われていたけど、それ以前に、まずは自国が持っているものを教養として身につけることが求められるようになる。それなくして、真の国際化はないということに、皆、気づくと思うよ。

エミール:自国の文化の素晴らしさを知り、それを他国に伝えることによって、初めて文化交流が成り立つ、ということですね。

―では、この年代に生まれた人は、どんな冥王星的テーマと向き合っていくことになるのでしょう?

愛:ここで一つ、重要な問題があるんだけど、2006年に冥王星は惑星から準惑星になった。そうすると時代が変わるんですよ。そもそも冥王星は、とても小さい星なんです。発見された当時、これを惑星とするか、小惑星とするかが議論されたくらいに。世界的に「これは小惑星だろう」となりかけた時、アメリカだけが惑星だと言い張った。発見したのがクライド・トンボーというアメリカの天文学者だったから、国の威信がかかっていた、ということもある。核と金融による、まさに冥王星的な支配構造だよね。その象徴である冥王星が格下げになったということは、今後、世界の勢力図が変わってくる暗示だよね。

―とすると、この後に生まれた世代は冥王星の影響を受けづらくなるということですか?

愛:受けないとは言えないけれど、これまでのような絶対的な影響はなくなるだろうね。

エミール:でも先生、2020年1月に冥王星と土星がコンジャンクションしますよ。山羊座の22度近辺ね。

愛:これは大変なことなんですよ。そもそも惑星は人類に意識化されて初めて、その作用が表れるんです。だから今の「冥王星山羊座時代」というのも、人類にとって初めての体験。そして土星は山羊座の支配星だから、新しい大陸が隆起するくらいの激変があってもおかしくないと思っている。他にも、土星が象徴するような社会制度の変化、企業による人身支配が終わる時代に入っていくんじゃないかな。


◆与えたものが、戻ってくる ~ブーメランの法則


エミール:これから社会の仕組みだけではなく、いろいろなことが新しくなっていくでしょうね。私は以前、愛先生からお聞きした、エネルギーの「ブーメランの法則」が、とてもショッキングでしたよ。

―「ブーメランの法則」ですか??

愛:目に見えている力ではなく、戻ってくる力が本当の力なんです。例えば音を出せば、音を消そうとする反作用が生まれる。「出したもの」よりも、「戻ってくるもの」が、本当のエネルギーの正体なんです。我々は「出したもの」の側に力があると思っているから、「あるもの比べ」になる。

―というと、どういうことなのでしょう……?

愛:「私はこの先、この会社でどうなっちゃうのかしら」と思っていれば、「この先どうなっちゃうかわからない」生活が返ってくる。そこで「私たちの会社はどうなるの?」と皆で考えたら、戻ってくるものが違う。意識の次元、そして大きさが違ってくるからね。

―例えば、今お金もなく仕事もなく孤独で「自分には何もない」と思っている人は、「自分には何もない」現実が戻ってきているということですか?

愛:そう、「何もない」というエネルギーが戻ってきている。でもそこで恋人がいない人が「これじゃまずいな」と思っているようでは、事態は何も変わらない。「もっと皆が愛し合える時代ってどういうことかな」と考えたほうが、より大きなものが戻ってくるよ。

―「考えるだけ」でもですか?

愛:考えることも作用の1つだから。しかも物理作用よりも意識作用のほうが大きいわけだからね。

―物よりも? 意識のほうがですか?

愛:当たり前だよ(笑)。だって意識が物を生み出すんだから。でも多くの人は、物質の次元で損得ばかり考えているから、その程度のものしか返ってこない。例えば、病気になってしまった人は、それは相当苦しいと思うんだけど「いったいどうしたら治るの!?」と考え続けていても、物質次元の発想だから何も変わらない。それよりも「なぜ自分は病気になったんだろう」という問いかけをしたほうがいい。そうすれば意識のレベルが変わるから、より大きなものが戻ってくる。

―えっ、考えることを変えるだけでも、現実は変わるんでしょうか?

愛:逆に、考えることを変えないで、何を変えるの?(笑)考えることを変えないままで、物事が変わるはずがないじゃない。

エミール:思わないことは何も起きませんよね。例えば、なぜ山に登るかというと山がそこにあって「登りたい」と思うからでしょう。でも疲れるし、面倒くさいし、お金もかかる……。だから欲しいものがあるのに、そのことを考えまい、考えまいとする。それでは何も変わらない。「自分の人生にけちん坊になってはダメよ」って思うんだけれど。

愛:惑星の中で、冥王星は質量的に一番小さいんです。でもその小さな原子が変化を起こした時、原子爆弾のような大きな力になる。まさに冥王星はそのことを教えてくれたんです。意識や思考や……、目には見えないけれど、実は大きな力を持つものがあるんだ、ということが、本当の意味で分かってくる時代になると思いますよ。

―意識が重要ということは、「こうなりたい」という目標を持つといいのでしょうか? 最近は「引き寄せの法則」でも、「願いが叶っているところをイメージするといい」と言われたりしていますが……。

愛:「こうなりたい」というのが、まだ物質次元、この世的な発想のうちはダメだよね。病気も治ろうが治らまいが、「どうでもいいや」という境地まで来ると、その人は治らざるを得なくなる。病気に限らず、すべてそう。貧乏でも「これも人生かもしれない」と思った瞬間、貧乏から解放される。その時点からね。

―恋愛もお金も仕事も「どうでもいいや」と思えばいいのでしょうか? ……なかなか難しいですね。

愛:うーん、「どうでもいい」というよりも、「ないならないでいい」というほうが近いかな。つまり「無」なんだよね。そこを通さずに「じゃあ、こうすればお金持ちになれるんですね!」という発想で、今の法則を使っても効かない。「この世界がどうしたら豊かになるかな」と本当に思っていて、そこにある種の「すっきり感」が伴っていれば、だいたいのことはうまくいくんだ、ということがわかってくると思うよ。

エミール:先生、私気づいたんですけど、“癌”という字は、やまいだれの中に「品の山」と書くのよね。

-?? どういうことですか?

エミール:物質的な発想で何かを獲得しようとして生きていると、だんだん疲弊してきて、ツケが回ったりするんじゃないかしら。それが「癌」という字になる。

―「品の山」と書いて「癌」……まさに物質ということですね!

愛:そういえば「Cancer(癌)」って蟹座だよね、やっぱり月なんだよ。蟹座の支配星は月だから。

―ま、まさかそこに帰結するとは……!!

~番外編・第2回に続く~

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マドモアゼル・愛
まどもあぜる・あい●水瓶座。1970年代のデビューから第一線で活躍し続けている、日本を代表する占星術者。西洋占星術の枠にとどまることなく、恒星占星術をはじめとする独自の占法を研究。
http://www.love-ai.com/

エミール・シェラザード
えみーる・しぇらざーど●射手座。1970年代にルネ・ヴァン・ダール・ワタナベに師事、西洋占術、東洋占術の双方を網羅する数少ない占術家。著書に『いちばんやさしい四柱推命入門』(ナツメ社)がある。
http://kaminosachi.com/

撮影/片岡 祥 聞き手/マイカレンダー編集部